日本の街並みにすっかり溶け込んでいる2代目ホンダ・ヴェゼル。2021年の登場以来、クーペライクで美しいスタイリングと高い実用性でヒットを記録し続けていますが、2024年4月に大きなマイナーチェンジを迎えました。
今回スポットを当てるのは、数あるグレードの中でも圧倒的な人気を誇る上級モデル「e:HEV Z」。一見すると「どこが変わったの?」と思うほど細かな変化ですが、実は日常の使い勝手と走りの質感が劇的に向上した“超・熟成型”へと進化を遂げていました。
1. ディテールのリファインで、より都会的に引き締まった外観
最大の特徴である「インテグレーテッドグリル(ボディ同色のグリル)」は健在ですが、グリルの形状がややスクエア(四角気味)になり、すっきりとしたフロントバンパーと組み合わされました。これにより、マイナーチェンジ前よりもワイド&ローな、どっしりとした安定感が生まれています。
さらに、後ろ姿の印象もガラリと変わりました。横一線に伸びるリヤコンビネーションランプが「オールLED」化され、内部のグラフィックが水平基調のシャープな2段デザインに変更。夜間に後ろを走ると、その未来的な存在感に目を奪われます。
2. ユーザーの声を形にした、ストレスフリーな内装
インテリアは、「e:HEV Z」ならではのプライムスムース(上質な合成皮革)とファブリックのコンビシートが高級感を演出。今回はさらに「実用性の不満」が徹底的に潰されています。
最も分かりやすいのが、運転席と助手席の間にあるセンターコンソールの左右対称化です。 これまでは助手席側から少しアクセスしにくかったスマホ置き場(コンソールトレー)が、すっきりと開口部を広げ、どちらの席からも均等に使いやすくなりました。
地味ながら「なるほど」と唸らされるのが、後席のセンターアームレスト。引き出し用の小さなベルトが追加され、サッと引き出せるようになっただけでなく、アームレストが下がりすぎず水平に保たれるよう高さが微調整されました。後席に乗る家族や友人への、ホンダらしい優しい気配りです。
3. 電気自動車(EV)ライクな滑らかさと、耳を疑う静粛性
ホンダ独自の2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」は、今回の改良でさらに磨きがかかりました。
エネルギーマネジメント(電気とガソリンの使い分け)の制御が見直され、街乗りでのアクセルレスポンスがより機敏に。また、無駄なエンジンの始動・停止が減ったため、「ほぼ電気で滑らかに走っている」感覚が強まっています。
あわせて、防音材・遮音材の厚みや配置を最適化したことで、ロードノイズやエンジン音が劇的にカットされました。FF(前輪駆動)モデルでは足回りのダンパー減衰力も見直されており、路面の凹凸を綺麗にいなす、ワンランク上のしなやかな乗り心地を実現しています。
4. 進化した「Honda SENSING」がもたらす心のゆとり
安全運転支援システムも大幅に強化されました。 渋滞時のステアリング操作をアシストしてくれる「トラフィックジャムアシスト」や、対向車を眩惑させずに遠くまで照らす「アダプティブドライビングビーム」が新採用。
一度ONにすればエンジンを切っても設定が維持される「メモリー付きオートブレーキホールド」など、日常の運転を劇的にラクにする機能がこれでもかと詰め込まれています。
総評:いまコンパクトSUVを買うなら「これが基準」
2024年式のヴェゼル e:HEV Zは、派手な変化こそないものの、「ここがこうなったら最高なのに」というユーザーの願いを100%形にしたようなクルマです。
デザインの美しさ、クラストップレベルの後席の広さ、そして高級車に迫る静かで滑らかな走り。どれか一つを妥協するのではなく、すべてを高い次元で満たした「e:HEV Z」は、今コンパクトSUVを選ぶなら間違いなく最初の基準にすべき、完成された1台と言えます。